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活用事例

セラヴィリゾート株式会社 代表取締役 三浦 英哉氏


企業改革はスピードとの競争
総合力の向上で、後続企業との差別化を図る。

  『バドワイザーカーニバル』『ザ・ロックアップ』『北の家族』など、ユニークなコンセプトの人気店を100店舗以上展開するセラヴィリゾート株式会社。代表取締役の三浦英哉氏に、今年6月から導入したMSRを活用した全社改革について、お話を伺った。

業態コンセプトのユニークさだけでは後続企業に勝てない

ミステリーショッピングリサーチ(以下MSR)導入のきっかけをお聞かせいただけますか?

代表取締役三浦英哉氏 三浦社長:弊社は、バドガールによる演出が楽しめる『バドワイザーカーニバル』や、監獄をテーマとした『ザ・ロックアップ』などのテーマレストランで大きくなってきた会社で、現在の中心選手である『北の家族』についても、“全室完全個室”というコンセプトがお客様に評価され成長業態になったという背景があります。要するに、料理にも、もちろんこだわっていますが、エンターテイメント性の高さや、店のコンセプトのユニークさで差別化を図ってきた部分が多分にあります。
  しかし、例えば『北の家族』の場合、個室を売りにする居酒屋を他社もどんどん作ってきています。コンセプトのユニークさの部分だけでは差別化が図れなくなってきており、結局は商品、サービス、空間、雰囲気…といった要素の“総合的な勝負”になってきています。
  そこで、これまであまりスポットを当ててこなかったサービスの部分を中心に、MSRを活用し、お客様のご意見をいただきながら、弱みは克服し、強みはさらに強くしていこうと考えました。そうした取り組みをしていかなければ、後続の個室居酒屋に勝っていけませんから。。

お店を改善していく上ではさまざまな要素がありますが、なぜその中でも特にサービスに目を向けられたのですか?

店内 三浦社長:弊社ではホームページを通じてお客様からいろいろなご意見をいただいていますが、そうしたご意見を拝見していますと、料理に関しては、お褒めの言葉が多いんです。一方で、ご指摘の内容となりますと、「呼んでも来ない」、「笑顔がなく、感じが悪い」、「清掃が徹底されていない」といった、サービスに関するものがほとんどでした。その結果として、中には「もう利用しません」という悲しいコメントを書かれている方もいらっしゃいました。
  売上を伸ばそうとすると、得てして“新しいお客様を増やす”ということに目が向きます。しかし、こうしたご指摘の数々を見て、まずは、せっかくご来店いただいたお客様が、こちらの対応のまずさによって減っていくことに歯止めをかけなければならないと思ったのです。お客様の声を聞き、サービスの基本的な部分を改善して、お客様の減少に歯止めをかけるだけでも、業績は上がるし、後続店舗にも勝っていけるのではないかと考えたのです。
  私は、ビジネスをしていく上でもっとも大事だと思っていることが、二つあります。一つは、良いことも悪いことも、お客様の声を聞き続けるということです。あの松下幸之助さんも、まだ街灯が整備されておらず、夜になると真っ暗だった時代に、近所の人が「自転車にもライトがあれば、夜も安心して自転車に乗れるんだけどなぁ」と話しているのを聞いて自転車用ライトを開発したというのが、事業拡大の一つのきっかけとなっているように、お客様の声を聞き続けて、至らない点があれば改善し、良いところはさらに伸ばしていくということが、ビジネスの基本であり、もっとも大切なことであると思っています。
  飲食業の場合ですと、料理を作り、提供して、お客様はお店の中でそれを召し上がります。つまり、商品の生産と販売、そして消費までが同じ店舗の中で行われるわけですから、MSRやホームページなどを使わなくても、本来ならお客様の声を聞く機会はいくらでもあるはずなのです。料理を召し上がったときのお客様の言葉や反応、あるいは料理の残り具合など、全部自分たちの目の前で起こっていることなのですから。さらに状況を見て「お味はいかがでしたか、お口に合いましたでしょうか?」とこちらから伺うこともできます。あるべき論としてはそうやっていくのが一番良いのですが、100店舗もありますと、全部の店長にそれをやらせきるということが難しくなってきます。これが数店舗なら、やり切れる自信はあります。しかし、100店舗となると、店長の属人的なスキルに頼るのではなく、なんらかの仕組みで回していかないことには、機能していきません。
  そして、ビジネスをしていく上で大事なことのもう一つは、良いものを見続けるということです。もしプロ野球選手を志すのなら、イチローを見なければ駄目です。近所の社会人野球や草野球を見ても、上手くはなれない。良いものを見なければ、良くなっていかないのです。
  ですから、自分が行ってみて良かったお店の情報などは社員に積極的に伝えますし、LCAさんが作成された「MS170 ※注」もコピーして店長に配り、休みの日に家族で外食するのなら、この中の店に行けば、勉強も兼ねられるよと勧めています。

※『MS170』:MSRでモニター評価の平均が170点以上の優良店を集めた小冊子。ホームページ版はこちら。


改革にはスピードが必要。 5年かかっては存続も危うい。

新たにMSRの結果を活用するための研修も導入いただきましたが、こちらの経緯についてもお聞かせいただけますか?

店内 三浦社長:LCAさんという、外部の力を借りようと思った最大の理由は、スピードの問題です。時代の変化、市場の変化に追いつくためには、私一人の力では不足だと考えたのです。
  弊社が運営している『バドワイザーカーニバル』や『北の家族』は、ありがたいことにそれぞれ高い人気が出て、順調にお店が増えていきました。その結果として、従業員の採用も教育も、店や会社の仕組みも、規模の成長に追いついていけないということになってしまいました。常に、規模に見合うだけの体制を整えようと、全速力で追いかけている状態が続いてきたというのが正直なところです。
  もちろん我々もそういう状態の中で、これまで何もしなかったわけではありません。ちょうど1年ほどかけて、私を筆頭に幹部一同が中心となって、さまざまな改善活動に取り組んできました。しかし結果を見ると、期待したほどの十分な成長を遂げられなかった、仕組みとして定着させきれなかったという部分が散見されました。改善された部分もたくさんありますが、全体として見るとスピードが遅いし、バラツキがある。
  その原因を掘り下げていくと、結局は私の力不足だと理解しています。自分でやることにこだわってばかりでもいけない、外部の力を借りてでも、お客様も従業員もハッピーになれるスパイラルを構築して、それを回していくことが、私のプライドを守ることよりも大事だと思いました。
  外部の力を借りてやるということは、当然、同時に取り組める課題も多くなってきますし、それに対する策の数も多くなります。また、「我々は本気なんだ」という姿勢や、我々はこれからここを目指すんだというビジョンを、全社に強力に伝えられるという効果もあります。「これをやらないと、ペナルティを課すぞ」と恐怖の力によって伝える方法もありますが、恐怖から逃れたいという消極的な理由でやることは所詮長続きしません。仕組みとして定着しません。そうではなく、店長も、スタッフも、みんなが積極的に、主体的に取り組んでいくという状態を作っていかなければならないと考えています。
  そのために、5年かかっても良いのなら私一人でもできるかもしれません。しかし、5年かかっていたのでは、その間にどんどん、後から来た企業に追い越されてしまいます。ですから、長くても1年と考えています。そのためには、LCAさんの力を借りることが必要と考えたのです。

弊社の研修は、従業員のやる気を引き出し、主体性を養うことを狙いとしていますが、三浦社長は主体性の重要性についてどのようにお考えですか?

店内 三浦社長:1997年は、外食産業は30兆円産業でした。それまでずっと右肩上がりで成長してきて、ピークのときで約30兆円です。私が店長をしていたときは、外食市場は爆発的に伸びていた時代ですから、店をオープンすれば、考えなくてもお客様はどんどん来ました。そういう時代の店長に求められるのは、管理の能力、経費コントロールの能力です。
  しかし、そこから市場は縮小しはじめました。料理小売業と呼ばれる業態に6兆円近くの市場を奪われて、2006年では約24兆円の産業です。
  こういう市場環境の中では、かつてのように管理と経費コントロールができるだけでは通用しません。それらをやった上で、さらに売上を上げられる店長でなければ、エースとは言えない時代になったのです。売上を上げるためには、自分の頭で考えて、考えたことを実現していかなければなりません。言われたことを正確にスピーディにやるだけではなく、主体性を持って取り組んでいかなければ、生き残れない時代になってきたということだと考えています。

「再出発の年」と振り返ることができる1年にしたい

今後の抱負をお聞かせ下さい。

三浦社長:今後としては、とにかく、この改革をなんとしても1年で仕上げたいと思っています。それも、「悪かったことが改善されました」というレベルではなく、仕組みとして、あるいは組織風土として、その後に残るものにしたいと思っています。「今思えば、あれが再出発の年だったね」と5年後に懐かしく語れるように、今はなんとしてもやりきるぞという気持ちだけです。全ては、そこから始まっていくと思いますので。
  たくさんのお客様に喜んでいただく。スタッフも生き生きと楽しく働いて、店に笑顔が溢れている。言葉にするとありきたりだけれど、私が目指す姿というのは、そういうことです。そういう状態を、全店で実現したいのです。
  その一番の旗振り役は、トップの私です。この改革が成功するも失敗するも結局は私次第であり、本気でやらなければならないと自覚しています。ただし、一人で頑張っていても駄目で、マネージャーが、店長が、スタッフが、全員が本気になってやろうと、そういう状態を作ろうと思わなければなりません。私はあくまでも火種です。その火を全ての店に点けてまわって、最終的には全店がやる気で燃え上がる、そんな状態にしたいと思っています。

ここからは菅谷マネージャーとスタッフの井藤さんにお話を伺ってきました。

全員に、お店に対してプライドを持って働いて欲しい

6月からMSRを活用する研修が始まりましたが、どのような変化を感じていますか?

菅谷マネージャーとアルバイトさん 菅谷マネージャー:特に社長や幹部が変わってきたと感じています。例えば、強みを伸ばすことの重要性を研修で学びましたが、その後、良い点を意識して探すようになりました。社長自ら褒めてくれると素直に嬉しいし、やはりこれからも頑張ろうとという気持ちになります。自分もスタッフに対して同じようにやっていきたいと思っています。上から下まで、全社を挙げてやっていかなければならない取り組みと考えています今はまだ会社の上層部が率先してやっている状態ですが、この流れが全社に行き渡れば、ずいぶん変わってくると感じています。

今回MSRの活用についての研修が始まりましたが、MSRについて新しい発見がありましたか?

菅谷マネージャー:「お客様のリピート率を上げるためには、不満を満足に変えても影響は少ない、満足を感動にすることが大切」という言葉が、特に印象に残りました。今までは悪いところを改善していたのですが、研修を受けて、良いところを見つけて伸ばしていく方が、成果が早く出ると思うようになりました。
  早速、満足を感動にするためには具体的にどうすれば良いか、スタッフ全員に宿題として考えてきてもらいました。例えばお料理が全て終わった時に、お客様から言われる前にお茶をお持ちするというアイデアが出ました。
  決して目新しい取り組みではありませんが、これまでは僕から「ちゃんとやりなさい」と指示するしかなかったのが、今では「自分たちで考えて、やろう決めたことなんだから、ちゃんとやろうよ」と言えますし、スタッフも店の改善について主体的に取り組んでくれるようになりました。
  こうしたアイデアを考えてもらう上で、MSレポートは役に立つと思っています。MSRは悪いところを見つけるための課題指摘的なツールではなく、お客様の気持ちを考えるための気づきのツールになると思っています。
  スタッフ全員に、お店に対してプライドを持って働いて欲しいと思っていますし、そのようなお店にしていきたいと考えています。

今回お店で新しい活動が始まりましたが、どのような気づきや変化がありましたか?

井藤さん:これまで、ミーティングで改善点などを話し合っても、“店側の視点”での意見しか出てこなかったことが多かったです。MSRのようにお客様から詳細な意見をもらえると、自ずと“お客様の視点”で考えることができるようになり、役に立ちます。
  覚えることも多いので大変ですが、スタッフ全員で頑張ってこのお店を作り上げているという気持ちになります。

セラヴィリゾート株式会社■今回インタビューさせていただいた
セラヴィリゾート株式会社

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